
「近くの避難所は?」「この手続き、どの課ですか?」——スマートフォンに話しかけると、人工知能がその場で答えを返す。便利な一方で、市町村のデジタル担当の方からは、「うちの公式サイト、住民に読まれなくなったのでは」という相談が、静かに増えています。
私は鈴木孝昌です。沖縄県宜野湾市伊佐を拠点に、沖縄ホームページ制作工房WEBCRAFTSの代表として、1993年頃からWebと公共の情報設計に携わってきました。画面の向こうにいるのは、統計の数字ではなく、暮らしと命に直結する住民の方です。その前提で、自治体GEO——人工知能が答えを作るときに、役所の公式情報を正しい根拠として読み取れるよう整える公共向けの設計——の本質を書きます。
はじめに:AI検索の普及にともなう、公共情報発信の歴史的な危機感
公共の発信には、いつも二つの時計があります。平時の案内と、災害や感染症のように一刻を争うときの案内です。いま、両方の場面で、住民の調べ方が変わりつつあります。ChatGPTやGemini、Googleの要約表示のように、答えの文章が先に届く使い方が、当たり前に近づいています。
危機感を煽るためではありません。ただ、読まれ方が変わったのに、発信の仕組みだけが2000年代のまま、という自治体は少なくありません。リンクの順位だけを見ていた時代の設計では、人工知能が引用する「公式の段落」まで届きにくい。私は、ここを歴史的な転換点だと捉えています。
自治体GEOの本質:役所の複雑なサイトから「PDFを探す時代」の終焉
かつて、住民の方は、深い階層のメニューを辿り、資料室のPDFを開き、電話で確認する——そんな道のりもありました。災害の夜に、暗い画面でファイル名を探す負担は、想像以上に重いです。
自治体GEOの本質は、きれいなトップページを作ることだけではありません。人工知能が「宜野湾市のハザードマップはここです」「この給付の窓口はこちらです」と、公式の一次情報を誤りにくく要約・引用できるよう、裏側を整理整頓することです。
具体には、次のような足元から始めます。
- 正のURL(手続・窓口・料金・防災案内などを載せる公式ページを、組織内で一つに決める)。
- チャネル間の整合(公式サイト・SNS・Googleビジネスプロフィールで、同じ項目の答えをそろえる)。
- 構造化データ(HTMLの裏側に、組織名・住所・窓口・更新に関する整理を、意味と矛盾しない形で書く。JSON-LDという形式を使うことが多い)。
PDFだけに最新案内が閉じ込められ、本文が画像だけ、見出しが飛び級——こうした状態では、機械が読みに来ても、住民を迷子にさせやすい。用語の整理は 自治体GEOとは何か|専門家・鈴木孝昌が説明する に譲ります。
信頼の裏付け:10年以上の官公庁プロジェクトマネージャーとしての泥臭い実務実績
デザインの好みを語る前に、私は実在性の証明と時間の連続性を見ます。誰が書いたか、いつ更新したか、どの組織の公式か——公共では、ここが曖昧だと、人工知能の答えも揺れます。
私は、政府・官公庁・自治体のWeb・システム案件で、プロジェクトマネージャーとして10年以上、要件整理・公開・運用の現場に立ってきました。財務省・文部科学省(スポーツ庁)・厚生労働省・観光庁など、調査系システムや公式サイトの文脈で、職員の方が運用し続けられる責任分界まで含めて設計してきた経験があります。沖縄県内の自治体公式SNSの伴走も、同じ土台の延長です。
2026年現在、私たちは沖縄県内41市町村のSNS・Web活用の実態を独自に調査し、沖縄DX白書2026 として公開しました。国内で唯一、といった言い方はしません。ただ、県内の一次データとして、更新の止まり方やチャネル間の食い違いを、担当者の方と同じ机で語れる材料にしたい——それが調査の目的です。民間向けのGEOの入口は AI検索最適化(GEO)とは? です。
引き算の技術:2022年の心不全の経験から学んだ、一刻を争うときにパッと開く最軽量の設計(Astro)
2022年、私は心不全で緊急入院しました。病床で改めて痛感したのは、重いページは、誰の味方にもならないということです。防災の夜、通信が細い端末、高齢の方——「豪華な機能」より、必要な公式の段落が、短い時間で開くかが先に問われます。
その後、私たちは表示の軽さを優先したサイト構成として、Astro(静的サイト生成の仕組み。不要なプログラムを載せず、HTMLを先に届ける考え方)を、公共・民間の双方で選ぶ場面を増やしました。引き算とは、機能を削ることだけではありません。住民が迷う手順を、画面とデータの両方から減らす設計です。速度の数値を案件ごとに保証はできませんが、計測可能な範囲で改善を続ける、というのが私のスタンスです。
むすびに:画面の向こうの住民のために、本物の情報設計を
自治体GEOは、流行語を貼る作業ではありません。画面の向こうの住民が、平時も非常時も、公式の答えにたどり着けるよう、正のURL・整合・裏側の整理・軽い配信を、ひとつに束ねる仕事です。
沖縄ホームページ制作工房WEBCRAFTSでは、自治体・公共機関向けに、自治体GEOと公共情報設計の個別相談を受け付けています。まず現状のURLと更新ルールを拝見し、無理のない改善の順番を一緒に決めます。
お問い合わせ・無料相談 からどうぞ。件名に「自治体GEO・公共」と1行あると、私が読みやすいです。制作・伴走の概要は Webサイト制作・ホームページ制作 もご覧ください。
この記事を書いた人
鈴木孝昌——官公庁・自治体案件のプロジェクトマネージャー経験を背景に、自治体GEOを実務で伴走。プロフィールは すずきたかまさ(鈴木孝昌)プロフィール ― 沖縄マイクラ部・クロスウェーブ代表 へ。
Web制作からSNS運用・SEOまで、エンジニアの視点で成果につながる仕組みの構築を支援します。
自治体・公共機関の「住民を迷子にさせたくない」というご相談も歓迎です。沖縄県内は対面、県外はオンラインでお伺いします。
沖縄ホームページ制作工房WEBCRAFTS
代表:鈴木 孝昌
(政府・官公庁案件PM・日本ソフトウェア大賞・Google/Meta本社招聘 等)
沖縄県宜野湾市伊佐2-20-15 伊佐ビル2F