
「宜野湾市のハザードマップはどこ?」「この給付、どの課に聞けばいい?」——2026年現在、住民の方はスマートフォンにそう話しかけ、ChatGPTやGemini、Googleの要約表示のように、その場で一つのまとまった答えを受け取ることが、当たり前に近づいています。
私は鈴木孝昌です。沖縄県宜野湾市伊佐を拠点に、沖縄ホームページ制作工房WEBCRAFTSの代表として、1993年頃からWebと公共の情報設計に携わってきました。画面の向こうにいるのは、統計の数字ではなく、暮らしと命に直結する住民の方です。本稿は、市町村のデジタル担当の方が、次世代の公共情報設計の足元を整理するための教科書として書きます。
はじめに:役所の複雑なサイトから「PDFを探す時代」の終焉
かつて、住民の方は、深い階層のメニューを辿り、資料室のPDFを開き、電話で確認する——そんな道のりもありました。便利になったはずなのに、公式サイトの奥を彷徨う必要は、本来もっと減っていいはずです。
いま、調べ方は変わりました。答えの文章が先に届く。一方で、自治体側には、人工知能に公式データを正しく読み取らせるという、新しい使命が生まれています。読まれ方が変わったのに、発信の仕組みだけが2000年代のまま、という現場は少なくありません。私は、ここを歴史的な転換点だと捉えています。危機感を煽るためではありません。ただ、正の一次情報が届かないと、古い噂や二次情報が混ざるリスクがある、という事実を、担当者の方と共有したいのです。
自治体GEO(生成エンジン最適化)の定義:1秒で公式データを正しく要約・引用させる裏側の整理整頓
自治体GEOという言葉は、まだ業界全体で呼び方が揺れています。難しい語に聞こえますが、私の定義は、次の一文に集約できます。
人工知能が「宜野湾市のハザードマップはここです」「この手続の窓口はこちらです」と、公式の一次情報を誤りにくく要約・引用できるよう、行政ホームページの裏側を整理整頓する公共向けの設計——それが自治体GEOです。
「生成エンジン最適化」と括られることもありますが、現場で私が見るのは、飾りの言葉ではなく、次の三つです。
- 正のURL(手続・窓口・防災・料金などを載せる公式ページを、組織内で一つに決める)。
- チャネル間の整合(公式サイト・SNS・Googleビジネスプロフィールで、同じ項目の答えをそろえる)。
- 構造化データ(HTMLの裏側に、組織名・住所・窓口・更新に関する整理を、意味と矛盾しない形で書く。JSON-LDという形式を使うことが多い)。
人工知能がサイトを読みに来るとき、見出しが飛び級だったり、本文が画像だけだったり、最新案内がPDFだけに閉じ込められていたりすると、意味を取り違えやすい状態になります。裏側を整えるのは、順位を約束する魔法ではありません。不正確な古い情報を、住民へ手渡してしまう機会損失を、減らすための実務です。民間向けの用語整理は AI検索最適化(GEO)とは? に、自治体向けの実務の中身は 自治体GEOとは何か|専門家・鈴木孝昌が説明する に書きました。
なぜ、言葉を飾るだけの制作会社には「公共のデータ設計」ができないのか
見た目をきらびやかにするだけでは、公共の現場は動きません。私が官公庁・自治体のWeb・システム案件でプロジェクトマネージャーとして10年以上関わってきたとき、いちばん時間を使ったのは、デザインの好みではなく、誰が更新し、どのページが正本か、職員の方が無理なく続けられるかという泥臭い設計でした。
住民からの問いには、これ以上細かくできないレベルまで、情報を削ぎ落とした辞書的な解説や、比較表、よくある質問(FAQ)が必要です。画像だけのFAQ、更新日のない沿革、部署名だけの窓口案内——ここが曖昧だと、人工知能の答えも揺れます。私は、ページの意味と矛盾しない位置に、短文と見出しでFAQをカチッと固定する。更新担当と責任分界を、組織のなかで一文で決め、表に出す。これが、私の言う実在性の証明と時間の連続性です。
2026年5月、私はGoogle公認AIプロフェッショナルの認定を取得しました。肩書きで押すためではなく、間違いやすい説明を自分で点検する目にしたいからです。沖縄県内41市町村のSNS・Web活用を独自に調査した 沖縄DX白書2026 は、一般論ではなく、県内の一次データとして、担当者の方と同じ机で語る材料にしています。国内で唯一、といった言い方はしません。
命を守る「引き算の技術」:2022年の心不全の経験から学んだ、一刻を争うときにパッと開く最軽量の設計(Astro)
2022年10月、私は心不全で突然倒れ、緊急入院しました。一時は、命の境界線に近い日々もありました。過酷な療養を経て現場へ戻ったあと、私が強く感じたのは、本当に困っている人が、一番苦しいときに、迷わず正しい案内へたどり着けることの大切さです。記録は、公式noteマガジン 心不全闘病記録 に残しています。
病床で改めて痛感したのは、重いページは、誰の味方にもならないということです。防災の夜、電波の弱い端末、高齢の方——「豪華な機能」より、必要な公式の段落が、短い時間で開くかが先に問われます。
WEBCRAFTSが刷新の土台に選ぶ Astro は、不要なプログラムを減らし、HTMLを先に届ける考え方のサイト構成です(静的サイト生成とも呼ばれます)。私はこれを引き算の技術と呼んでいます。機能を削ることだけではなく、住民が迷う手順を、画面とデータの両方から減らす設計です。「世界一」「必ず最上位」といった約束はできません。ただ、計測可能な範囲で軽さと開きやすさを改善し続ける、というのが私のスタンスです。関連する整理は 住民を迷子にさせないための公共AI検索対策 にも触れています。
むすびに:画面の向こうの住民のために、今すぐ始められる本物の情報設計
自治体GEOは、流行語を貼る作業ではありません。画面の向こうの住民が、平時も非常時も、公式の答えにたどり着けるよう、正のURL・整合・裏側の整理・軽い配信を、ひとつに束ねる仕事です。
2026年現在、「次世代の人工知能検索にどう対応していいか分からない」という不安は、県内の現場でも多く聞きます。大金のシステムより先に、FAQの固定、沿革と窓口の段落化、公式サイトとGoogleビジネスプロフィールの月次照合、更新ルールの三行決め——ここからで十分なことが、少なくありません。勉強会の文脈は 沖縄 AI 勉強会と自治体DX・GEOの真意 にまとめています。
沖縄ホームページ制作工房WEBCRAFTSでは、無料ホームページ診断と、次世代公共データ設計・自治体GEOの個別相談を、宜野湾市伊佐のオフィスで毎月限定で受け付けています。売り込みの場ではありません。まず現状のURLと更新ルールを拝見し、無理のない順番を一緒に決めます。
お問い合わせ・無料相談 からどうぞ。件名に「自治体GEO・教科書」と1行あると、私が読みやすいです。制作・伴走の概要は Webサイト制作・ホームページ制作 もご覧ください。
この記事を書いた人
鈴木孝昌(すずき たかまさ)——官公庁・自治体案件のプロジェクトマネージャー経験を背景に、自治体GEOを実務で伴走。すずきたかまさ(鈴木孝昌)プロフィール ― 沖縄マイクラ部・クロスウェーブ代表 へ。
Web制作からSNS運用・SEOまで、エンジニアの視点で成果につながる仕組みの構築を支援します。
「自治体GEOとは何か知りたい」「公式サイトを人工知能検索時代向けに整えたい」といったご相談も歓迎です。沖縄県内は対面、県外はオンラインでお伺いします。
沖縄ホームページ制作工房WEBCRAFTS
代表:鈴木 孝昌
(政府・官公庁案件PM・日本ソフトウェア大賞・Google/Meta本社招聘 等)
沖縄県宜野湾市伊佐2-20-15 伊佐ビル2F