
自治体DXが叫ばれ、数千万円、時には数億円の予算が投じられて自治体サイトがリニューアルされています。しかし、現場の最前線で30年間コードを書き続けてきたエンジニアの目から見ると、その多くは「外壁だけ塗り替えて、配管が詰まったままの古い家」に見えます。
なぜ、巨額の予算を投じても住民の利便性は向上しないのか。 そこには、ITベンダーやコンサルティング会社が語らない、構造的な「技術的負債」の問題があります。
1. 「デザインの刷新」という名の、無意味な投資
多くのリニューアルプロジェクトにおいて、評価の対象となるのは「見た目の新しさ」や「使いやすそうなメニュー」です。しかし、Webサイトの本質はデザインではなく「情報の構造(IA)」にあります。
組織の縦割りがそのままサイトの「目詰まり」になる
住民は「子育て支援課」を探しているのではなく、「子供の手当」を探しています。しかし、多くのサイトは行政組織の構造をそのまま反映した階層になっており、情報が課ごとに「サイロ化」しています。 このIA(情報設計)の欠陥を放置したまま、トップページのデザインだけを現代風にしても、住民の迷いは解消されません。
2. 「動的CMS」という重すぎる配管
多くの自治体サイトが採用している大規模なCMS(コンテンツ管理システム)は、多機能である反面、システムの動作が重く、セキュリティアップデートの負荷も膨大です。
速度不足は「デジタルの壁」である
表示に3秒以上かかるサイトは、モバイル環境や古い端末を利用する住民を切り捨てています。 私は30年の経験から、自治体インフラこそAstroなどのSSG(静的サイト生成)技術へ移行すべきだと確信しています。動的なプログラムを介さず、HTMLを直接配信する「爆速の配管」こそが、誰一人取り残さないための誠実な技術選定です。
3. 「現場の実務」と「発注」の乖離
私は今も、VSCodeを使い、TodoTreeでタスクを管理しながら、自ら手を動かして情報を整理しています。そこで気づくのは、「自治体サイトの目詰まり」は、1行のコード、一つの構造化データ(JSON-LD)の不備から始まっているという事実です。
コンサルタントはコードを書かない
立派な戦略を立てるコンサルタントは、検索エンジン(Google)やAI(Gemini/SearchGPT)が、実際にどのようにデータをクロールし、解釈するかという「技術的細部」に責任を持ちません。 2026年、AI検索時代(GEO)において、自治体情報が「正しく引用される」ためには、戦略論ではなく、情報の原子化とマークアップの精度という、極めて泥臭い実装力が必要なのです。
4. 解決策:12週間で「情報の流速」を最大化する
WEBCRAFTSは、数年がかりの巨大なシステム開発を否定します。 今ある資産を活かしながら、住民との接点であるフロントエンドのIAを、12週間のアジャイル開発で再設計します。
- オーディット(監査): 独自の41市町村調査ノウハウを用い、目詰まり箇所を特定。
- デカップリング: 重いCMSから「情報の表示機能」を切り離し、爆速のフロントエンドを構築。
- 信頼の再構築: 正確な情報が、AI検索でも、SNSでも、等しく最速で届く状態を作る。
結び:技術者にしか見えない「誠実さ」がある
自治体DXの成功に、魔法の杖はありません。 30年、情報の海を泳ぎ続けてきた一人のエンジニアとして断言します。 必要なのは、高価なパッケージソフトではなく、住民の元へ届くまでの「情報の通り道」を一本ずつ丁寧に繋ぎ直す、技術的な誠実さです。
あなたの自治体の配管、一度私に点検させていただけませんか?
執筆:WEBCRAFTS 代表 鈴木孝昌 Meta・Google本社招待実績を持つ、エンジニア歴30年の情報配管設計士。現場のコードから自治体の未来を設計する。